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都市農地フィールドワーク [urban]

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院の演習で都市農地(≒市街化区域内農地)の実態と保全のための行政または農家の活動について調べるために練馬区の「農業体験農園」を見て廻ってきた。
ちなみに市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のこと、しかもこの線引きがされたのは新都市計画法が制定された1968年。もう40年も前のものになる。

都市農地に関して『季刊まちづくり26』によると大きく3つの論点がある。
①そもそも都市に農地は必要なのか?
②市街化区域内農地は農地でなければならないのか?(たとえば公園などの緑地ではダメなのか?)
③農地としての土地利用をどのように維持するか?
(『季刊まちづくり26』p.55-58参照)

まず市街化区域は簡単に言えば国が都市化すべき場所を都市化しやすいように法的に誘導するためのものであり、逆に農家から見ると今まで農業していた場所も「農業はするな」と言っているようなものだと。
実際に市街化区域内農地は宅地化しやすい法制度であり、農家を続けることはかなり困難。そこで処方箋として生まれた生産緑地法による生産緑地地区が生まれ、固定資産税は一般農地並みとなり、相続税の納税猶予などの法定措置がある。しかし、現状都市で農業を続けるという事は野菜が売れて始めて成り立つ。商売のハードルも都市農家は圧倒的にハードルが高い。地方に比べて生産量は微々たるもので、安定しない。そうなると直売所頼りになってきてしまう。そんな不遇で農業を続ける意味を見出すのはかなり難しい。そういった状況のなかでも戦い続けた人に今日話を聞くことができた。
その人は「農と緑の体験塾」を経営している加藤義松さんである。加藤さんが農業を始めたのがちょうど新都市計画法が制定された頃で、農業を始めた矢先に国から「あなたの土地では農業はやめてください」と決められたわけだ。しかし、68年といえば高度経済成長期の手前である。当たり前だが都市化することが至上命題だった。そんな時代にこれから夢でいっぱいの都市化が見込める地域に農業を続けてもらうメリットは想像にも及ばなかっただろう。それはそれで仕方ない。
だが、問題なのはその線引きの方法である。要は市街化区域が広いということは都市化されるであろう地域が広く取れるということ。イコール、その分税収が上がるわけで、どこの区や市も広めに市街化区域を設定するのが基本だった。これによってもともと農村だった地域も市街化区域の内に入れられた。これが現在の都市農地保全の問題が大きくなってしまった一番の問題であると考えられる。この線引きがどのように決まっていったのか?調べてみる価値がありそう。
加藤さんはそういった都市計画的な背景についてもよく勉強されていて僕らのような半端な都市学生よりも全然都市計画に対する知見を持っていた。都市計画によって不遇を与えられそれと戦い、今の都市農地の見直しのための画期的なアイディアとしての「農業体験農園」を行政に働きかけ作り上げた。舌を巻くような仕事だと思う。
演習課題の一環で訪れ事情を聞いたわけだが、大学の課題という枠を越えて個人的にとても大きな収穫だった。
テキストでしか触れたことのなかった都市計画法の生々しいリアルを実感できただけでとても学びになった。そこで僕は都市に対して何をすべきなのか?もはや課題うんぬんでなく、都市科学を専攻する一学生として、そこは一度本気で考えてみたくなった。

季刊まちづくり 26

季刊まちづくり 26

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 学芸出版社
  • 発売日: 2010/03/01
  • メディア: 単行本

都市計画的な話も重要なんだけど、やっぱり一番問題なのは僕ら日本人の農への感心ひいては食への感心なんだろう。特に食への感心。日本の自給自足率が極めて低いのはもはや自明だが、国の自国農生産に対する助成も他先進国に比べてもかなり少ないらしい。そして、いまだに日本は食糧は輸入したほうが国の利益につながるという考えが根強いらしい。農業体験農園も極めて画期的で農業を経営という視点で都市計画とリンクさせていく新しい考えであり、今はニーズがあって、体験農園の抽選倍率も3倍を越える。しかし、それも今の農業ブームやまだまだ都市農地の活用が進んでない現状が前提にあると考えられる。あまり楽観はできないと思う。これからそういった農地も増えるし、不運にも競合してしまうこともある。そういったときに下支えとして必要なのは国民の意識だろう。経営者側、行政側がニーズを開拓していく努力も必要だが、日本の食に対する意識改革を行って行かなければ根っこの部分での問題はずっと尾を引くような気がする。

ところで、自分が稼ぐようになって家庭を持ったら農業体験農園に参加しようと本気で思う。小さい頃おばあちゃんの畑で芋掘りやとうもろこしなどを穫った思い出ってやっぱり大きい。田舎で遊んだ記憶って豊かさをとても含んでいる。なので自分に子供ができたら早く土を触らせたい。

余談ですが…西武池袋線「保谷駅」の徒歩圏にある農業体験農園をまわったのだが、またこの保谷駅前再開発がおもしろい。保谷駅自体も最近建て替えられたようで、駅のなかにカルディコーヒーを筆頭におされな店が入っていた。それは置いておいて、実は保谷駅は西東京市。保谷駅南口駅前一帯は練馬区。再開発は西東京市が行っているようで、かなり複雑。北口と南口の違いが明白なのがおもしろい。やっぱり行政の壁って厚いのね。一体になって計画すればいいのに。気になる方は保谷駅まで。


なんかひさびさに全然書き足りないw


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